歌壇で最も権威があるとされ、優れた歌集に贈られる今年の「迢空(ちょうくう)賞」に、神奈川県鎌倉市にある瑞泉寺の住職大下一真さん(73)の「漆桶(しっつう)」が選ばれた。瑞泉寺は数々の文学者ゆかりの寺としても知られる。僧侶として歌人として忙しい毎日を送る中、日々の日常や自らの歩んできた道を歌に織り込んでいる。
「歌壇では伝統ある重い賞。遠くで仰ぎ見ていたものが突然目の前にきたという感じで、私なんかがいただいていいのかという思いです」
受賞した歌集「漆桶」は2013~18年の作品の中から約500首の短歌と2首の長歌を収めた、大下さんの第7歌集だ。「漆桶」とは黒い漆を入れる桶のことで、転じて「真っ暗で何も分からないこと」や「仏法について何も分からない僧」などの意味があるという。
歌集の最初の一首は、境内の自然を描いた作品だ。
昼たけて大樹の椨(たぶ)に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル